ある日のレッスンでのこと。
アクセント記号を指さしながら、「この記号がついている音符は、どんな風に弾く?」と尋ねると、Hちゃんが楽譜に「強く」と書き込みました。
曲の最後に「ジャンッ!」と決めるところなので、この場合は「強く」で間違いではないのですが、アクセント記号の正確な意味は「その音を目立たせて」。
アクセント記号がついていても強く弾かない場合もあるから、と説明し、書き直させようとしたのですが、Hちゃんはイヤイヤと首を振るばかり。
どうやら、新しく覚えた「強」の漢字を使いたかったみたいです。
新しく覚えた知識をすぐに活用する。お手本にしたい姿勢ですね。
ということで、今回は、「強く」に「他の音より」と書き足すことで、良しとしました。
考えてみれば、子どもの頃に弾く曲で、アクセント記号がついているのは、強く弾く部分ばかり。「アクセント記号=強く弾く記号」と思い込むのも、仕方がないですよね。
そんなことがあった頃、テレビで、務川慧悟さんが友人の反田恭平さんにこんなアドバイスをしているシーンを見ました。二人ともピアニストです。
「この瞬間に何か欲しい。弱くていいんだけど、この和声に何か欲しい。痛みみたいなものが…」
特別な非和声音の弾き方についてのアドバイスなのですが、作曲家がアクセント記号をつけるときの意図は、正にこの言葉の通りなのではないかと思いました。
アクセント記号は、作曲家が(ここに何か欲しい)と思った印。その表現方法は、他の音より鋭く弾いたり、弱く弾いたり、タイミングを少しずらしたり、音色のトーンを変えたり、いろいろ可能。
そんな風に理解できました。
生徒さんたちには、アクセント記号を見つけたら、その音を目立たせるためにどんな表現をするか、いろいろ試させていこうと思います。
jet〔全日本エレクトーン指導者協会〕本部から、ヤマハ音楽教室の理念を再確認するように、というお達しがありました。
その理念とは、「①すべての人がもっている音楽性を育み、②自ら音楽をつくり、演奏し、楽しむことの出来る能力を育て、③その音楽の歓びを広くわかちあう」、だそう。(①②③は私が付記しました)
なんだか漠然としているので、私なりの解釈をしてみました。
まずは、①「すべての人がもっている音楽性を育」む。
子どもは単一の旋律を周りの人と揃えて歌えます。手遊びの最初に、「せっせっせーの、ヨイヨイヨイッ」と歌いますね。たいていの子は、「せっせっせーの」でお互いの声の高さが違っても、「ヨイヨイヨイッ」で同じ高さに揃えられるそうです。
一方、音楽教育を受けた人は、メロディと伴奏を合わせることができます。複数のリズムをひとつの拍子感の中にまとめ、複数の高さの音を調和させる演奏ができるのです。
単一の旋律から、別々のものが響き合う立体的な音楽へ。①は、そんな風に聴く力を伸ばしましょう、ということでしょう。
そして、「②自ら音楽をつくり、演奏し、楽しむことの出来る能力を育て」る。
能動的ですね。
文章を読む=受動的、書く=能動的で考えます。書くためには、語彙を増やし、漢字を覚え、文法や文の構成を学ばなければなりません。つまり、能動的に楽しむには、その分野の知識を身につける必要があります。その手段としては、既存の名文をたくさん読むことが最適でしょう。
ですから、②は、名曲と名演にたくさん触れさせて、音楽の知識を身につける教育をしましょう、ということでしょう。
それから、「③その音楽の歓びを広くわかちあう」。
先日、Youtubeでショパン国際ピアノコンクールの一部の演奏を視聴しました。
どの演奏も素晴らしかったのですが、特に、優勝者のブルース・シャオユー・リウさんのピアノ協奏曲ホ短調。ピアノとオーケストラがすごく馴染んでいるというか、まさに一体となっていました。指揮者の方もノリノリで、聴衆からは終わるや否やの拍手喝さい、コンサート・マスターも満面の笑み。
こんなふうに音楽の歓びを広くわかちあえたら最高だろうな、と思いました。
個人レッスンの音楽教室で、③を生徒さんが経験するには、連弾やアンサンブルを弾く、会場のリアクションを感じられる発表会などに出演する、くらいですかね。
まずは、生徒さんと私と、二人で音楽の歓びを狭くわかちあえるようにしようと思います。
jetでは、サウンド・カーニバルというイベントがあります。曲のイメージに合わせて、オリジナルのレジストレーション〔音色の設定〕をつくろう!というイベントです。
K君は、山下千尋さん作曲の「こな雪のおどり」で、上鍵盤は哨吶 と揚琴、下鍵盤はトランペット、というレジストレーションをつくってきました。
哨吶 と揚琴。
中国の楽器らしい、ということは推測できますが、その音色を使ったこともなければ、楽器の形状もわかりません。
レッスンの後で、「私家版 楽器事典」のwebサイトを閲覧。さらに、Youtubeで楽器名を検索すると、哨吶 と揚琴に加え、板胡(バンフ/バンコ)、二胡 (ニコ)、笛子(ディーズ)のクインテットの演奏(上の写真をクリックすると聴けます)がありました。
「楽器事典」によると、哨吶は、チャルメラの仲間で2枚リードの管楽器。揚琴は、ヨーロッパのハンマー・ダルシマーの仲間だそう。
板胡と二胡はよく似た弦楽器ですが、Youtubeのクインテットの演奏を聴いていますと、板胡の方が1オクターブ音が高いです。
いろいろ知識を蓄えて迎えた、次のレッスン。Youtubeで見たのと同じクインテット+トランペットという楽器編成の演奏をイメージして、K君とレジストレーションを改良しました。
できあがったレジストレーションでわたしが「こな雪のおどり」を弾いていますと、K君が「『こな雪のおどり』ってどんなおどり?」と言いながら、ひらりひらりと踊り始めました。
自分でレジストレーションを考えることによって、その曲に一層愛着が持てるみたいです。ともあれ、K君が楽しそうでよかったです。
※ ご参考までに、打楽器に関するブログです。
ピアノを弾くときは、脱力が大切と言われます。
先月のことですが、大人の方がピアノに向かっているとき、肩に力が入っているように見えたので、自分の体験をお話ししました。
「左足をただ床に置いておくのではなくて、指先で軽く床をつかむくらい、しっかり踏みしめたら、肩から力が抜けて、楽に弾けるようになったんですよ」
すると、その方から、「上虚下実」というヨガの言葉があるのを教えてもらいました。上半身は力を抜いて、下半身はどっしりと構えるということだそうです。
ピアノの構えも、まさに「上虚下実」だな、と思いました。
また、先日、新型コロナのワクチン接種に行った時のことです。
筋肉注射も脱力が大事みたいです。お医者さんから、「腕はだらーん、だらーん。たっぷり息を吸って、ハイ、吐きます」と声を掛けられつつ、注射されました。
呼吸も脱力のポイントですね。
弾けないフレーズのところで、気づくと、息を止めてしまっている、なんてことも、よくあります。
そんな時は、まず、フレーズの始まりで息を吐くようにしています。繊細なフレーズなら細い息、力強いフレーズなら勢いよく吹き飛ばすような息、というように。
息が吐き出せたら、それでオーケー。肺に空気が足りなくなったら、自然と吸っているので、吸う方は意識的にしなくても大丈夫です。
自分の体なのに、思うままに動かせないことも多いですが、「上虚下実」と呼吸を味方につけて、気持ちよく演奏したいですね。
「ミッキーマウスマーチ」を弾いた後、Hちゃんにイ短調スケールを弾いてもらいました。
「短調=悲しい調べ」を予期していますと、おどけた口笛と愛らしい鉄琴で、らしどれみふぁそら~。エレクトーンのレジストレーション〔音色の設定〕を「ミッキーマウスマーチ」のままで弾いたので、ちっとも悲しくないスケールになってしまいました。
指くぐりも導音〔調号どおりのスケールから7度の音を半音高くする〕もばっちりだったのに、思わず笑ってしまって。Hちゃん、ごめんね。
「短調=悲しい調べ」ではない曲と言えば、ショスタコーヴィチのピアノ曲集『こどもの音楽帳』の「楽しいおはなし」。この曲は、ホ短調ですが、タイトル通りの楽しい曲です。
アレグロ〔生き生きとした快活な速さで〕で、音域が高め、スタッカートが多用されています。強弱記号は、フォルテ〔強く〕とピアノ〔弱く〕だけ。くっきりとした強弱で、場面の切り替えが表現されます。
一方、同じく『こどもの音楽帳』の「悲しいおはなし」は、ト長調。長調なのに悲しい曲です。
アダージョ〔くつろいだ緩やかな速さで〕で、音域は低め、センプレ・レガート〔常にスラーをつけて〕で弾きます。強弱記号はピアノとディミヌエンド〔だんだん弱く〕だけ、という儚さ。
さらに、これらの曲をエレクトーンで弾くなら、レジストレーションでより楽しげに、あるいは、より悲しげに弾くことができそうですね。
習い始めの頃は、「短調=悲しい」、「長調=明るい」と認識しておけば良いですが、基本が身に着いたら、もっといろいろなニュアンスを感じながら弾いてもらいたいです。
スケールを弾くときに、テンポや音域、アーティキュレーションや強弱の指示を加え、レジストレーションも変えて弾かせたら、表現する楽しさに気づいてもらえるかな、と思いました。
※ ご参考までに、スケールに関するブログです。
当教室のレッスンでは、テキストのレパートリー曲と平行して、jet教材の『トレーニングブック』の和音づけの課題に取り組んでいます。
和音づけの課題曲は、「メリーさんのひつじ」や「茶色の小瓶」など、誰でも耳にしたことがあるようなトラディショナル・ソング〔民謡〕やスタンダード・ナンバー〔ポップスの定番〕です。
メロディだけの楽譜に、第一課ではドミナント(Ⅴ7)とトニック(Ⅰ)、第二課ではサブドミナント(Ⅳ)とドミナント(Ⅴ7)とトニック(Ⅰ)で和音をつけ、適切な伴奏形にして演奏する、というものです。
先日、Sちゃんがロシア民謡の「一週間」に取り組み始めたのですが、あっという間に仕上がり、しかも恐ろしく速いテンポで弾けたのでびっくりしました。
続いて、K君も「一週間」に取り組み始めました。楽譜はホ短調。移調奏が得意のK君。ホ短調でメロディを弾いたかと思うと、すかさず、ニ短調で弾き始めます。わたしは、オルターネイティングベースのリズム伴奏で合わせました。
さらに、今まで習った、イ短調、ト短調、ロ短調でメロディの出だしをわたしが弾けば、K君がそれぞれの調で弾き始めます。
弾みがついたK君が、弾き始めの音を一音ずつずらして、白鍵で始まるすべての短調で弾き始めました。K君が、次の調へ、次の調へと間髪を入れず進んでしまうので、伴奏のこちらは、もう大変。オルターネイティングベースの開始音(ドミナントの第5音)がパッパッと出てこないものですから、アワアワしてしまいました。
小学生の頭の切り替えの速さには舌を巻くばかりです。
それにしても、SちゃんもK君も楽しんで弾いてくれたみたいで、意外と魅力的な曲だったのだなあ、と「一週間」を見直しました。
生徒のTさんが、ブルグミュラーの「タランテラ」を練習し始めることになりました。テキストに、「『タランテラ』は、8分の6拍子のナポリの舞曲」と書いてあったので、一緒に、You-tubeでどんな踊りか見てみました。
テンポの速い曲に合わせて、夢中で細かいステップを踏んでいる感じ。タンバリンを片手に踊っていて、4小節目の2拍目でシャンっと鳴らします。なんだか楽しそうです。
基本のステップは、タットのリズムで、片足を前後左右へ踏み出し、そこへもう片方の足を揃える。それをタット、タットと繰り返しています。踊りの途中で、にわかに情熱的なステップに変わったりもします。
毒グモのタランチュラが這いずり回っているおどろおどろしい曲かと思っていましたが、踊り手の重心も高いし、leggiero〔軽やかに〕な曲なんだなあ、とわかりました。
Tさんが、「楽譜の音符の並びがそのまま、『タランテラ』の踊りの動きみたいですね」とおっしゃっていました。
この曲の伴奏は、拍頭に三和音でジャン、ジャンと弾くリズム伴奏の部分と、アルペジオで弾く分散和音の部分があります。Tさん流に楽譜を眺めてみると、分散和音のところから情熱的ステップに変わり、足の動きが速くなった印象を受けました。
楽譜を絵画的に見ると、また、面白い発見がありますね。
テンポの速い曲ですが、You-tubeの踊り手の方々のように、夢中で体を動かして、楽しく演奏できると良いですね。
ある日のレッスンのこと。
映画『禁じられた遊び』のテーマ曲「ふたりの子供」のメロディをドレミで歌うことができたので、それでは、と生徒さんに弾かせました。
♪ ミミミレド
あれ?少し数が足りません。
ミミミ、ミレド、と見本を弾いて、もう一度。
今度は大丈夫。
そして、最後のフレーズ。
♪ シシシドシラララー
!?
また数が変!と思ってから、ふと気づきました。
問題なのは、音の数ではなくて、拍子感なのでは?と。
楽譜の拍子記号を指さして、「この曲は4分の3拍子。123、123の拍子を感じて弾いてね」と、1をしっかり、23を軽い感じで伝えてから、再チャレンジ。
♪ シシシ、シドシ、ラララ、ラー
できました!
楽譜は、音部記号があって、調号があって、拍子記号があって、それからやっと音符や休符が出て来ます。
まだ楽譜がスラスラ読めない生徒さんには、ドレミで歌って、歌えたら弾かせて、という手順で指導していました。でも、そんな生徒さんたちにも、楽譜に書いてある情報を全部伝えないと、音部記号が示す音域、調号が示す調性、拍子記号が示す拍子を無視したヘンテコな音楽になってしまうこともあるのだなあ、と反省しました。
同音連打の数や、短いフレーズを繰り返す数(「エリーゼのために」のミレミレなど)がわからなくなったら、拍子をチェック。拍子をしっかり感じて弾けば、数えなくても、きちんと弾けるようになるはず!
お試しあれ。
※ ご参考までに、拍子感やリズム感に関するブログです。
一年半ごとに他の教室の先生方と合同で行っている発表会。今年の3月に開催の予定だったのですが、コロナ禍で延期となりました。
合同で行っているS先生の教室では、録画してYou Tubeに投稿したそうです。アドレスを入力してもアクセスできず、QRコードを持っている人だけが視聴できる安心の限定公開設定。
S先生の録画発表会は、ただの演奏の動画集ではなくて、ご挨拶の文言が流れるオープニング(生徒さんの演奏のBGMも素敵!)からスタート。先生のきちんとしたお人柄が伝わってきました。
そして、総勢14名の演奏シーン。顔なじみの生徒さんたちが、体の大きさも演奏技術もぐんと成長していてるのを拝見できてうれしかったです。でも、同時に、(この子たちに舞台袖で会いたかったなあ)と寂しくも感じました。
締めくくりのメッセージが流れて終わりかと思ったら、最後に出演者の紹介があり、生徒さん一人一人の本番前後の素の姿が収められていました。まるで舞台袖での時間を共有できたようで、心が和みました。
生徒さんの入れ替えのたびに、換気して、楽器を拭いて、手指の消毒をして、と録画も手間がかかったでしょうし、一時間ほどの動画ですから、編集作業も大変だったと思います。
S先生のように大勢の生徒さんを引っ張て行くタイプにはなれませんが、労をいとわない姿勢だけは見習っていきたいです。
季刊誌『音遊人』の2021Spring号に「ヤマハ講師の皆さんに聞きました!楽器別実戦アドバイス」という記事がありました。
ピアノ、エレキギター、トランペット、フルートなど、いろいろな楽器の講師のアドバイスが載っています。
多くの方が共通しておっしゃっていたのが、①音源や動画に合わせて演奏することと、②楽器を鳴らさずに、または楽器がない状態で体の動きをトレーニングすること。
①は、「感覚的にノリがつかめる(エレクトーン講師)」し、「リズムや拍節感のトレーニングにもなる(アコースティックギター講師)」し、何より「楽しい(前述の講師2名とドラム講師)」から。
②は、「複雑なからだの使い方をするからこそ、まずは動きや呼吸のイメージを持つことが大事(バイオリン講師)」だから。
面白いと思ったのが、アコースティックギター講師の方の「弾ける曲から練習を始めましょう」というアドバイス。
「昨日よりいい音色やリズムで弾く、テンポを上げるなど、具体的な目標を持って取り組」むことを推奨なさっています。
わたしは、指導者になる前は、ある程度弾けるようになったら次の曲、次の曲、と先に進むことばかり目指していました。
でも、指導者になって、生徒さんの前で参考演奏するようになって、「弾ける」と思った曲を改めて練習するようになりました。すると、ここをこうしたら、ああしたら、もっと素敵になるかも、という点が色々と見えてきて、ずいぶんレベルの低い「弾ける」をゴールにしていたのだなあ、と気づきました。
毎日の練習の始めに、「弾ける曲」を弾く。そうして、難易度を上げるのとは違った、その曲の良さを掘り下げていくような練習を続ければ、隅々まで心地のよい精細な演奏ができるようになるのではないでしょうか。
K君のエレクトーンのレッスンで「糸巻の歌」を始めました。まず、参考演奏を聴きながらドレミで音名唱。
参考演奏は、レジストレーション〔上・下鍵盤や足鍵盤の音色やリズムの設定〕があらかじめセットになっている「レジストレーションメニュー」から、「トイオーケストラ」を使って、おもちゃの世界っぽい、かわいらしい音色で録音しておきました。
レジストレーションで使っている音色を調べていたK君が「ハープシコードって、琴の音に似ている」と言ったので、エレクトーンで琴の音を出して比べてみました。
「琴の方が、丸っこい音かな?」と私が言うと、琴と一緒の和楽器のカテゴリーに入っている「大正琴」を選んで「これ!」とK君。
弾いてみると、ハープシコードは「ヴィンヴィン」、大正琴は「ディンディン」という感じ。確かに似ているかも。
後で、ウェブ検索してみたところ、どちらも金属の弦を爪(ハープシコードでは鳥の羽軸を薄く削った物、大正琴ではべっ甲のピック)ではじいて弾く、ということ。音を出す仕組みは同じでした。
ハープシコード<英>は、チェンバロ<伊>、クラブサン<仏>とも言い、17~18世紀のヨーロッパの鍵盤楽器で、奏法や外見はグランド・ピアノに似ています。一方、大正琴は、大正時代の日本で発明された弦楽器で、奏法や外見は琴に似ていますが、卓上で弾けるコンパクト・サイズ。
楽器のサイズや形が違うので、ハープシコードと大正琴が似ているなんて思いもしませんでしたが、音だけ聴いて判断すれば、意外な楽器同士の共通点が見つかることもあるのですね。
K君のおかげで、面白い発見ができました。
※ ご参考までに、打楽器に関するブログです。
Sちゃんのレッスンで「フリースの子守歌」をしました。初めての8分の6拍子の曲です。「ゆりかごが、ゆうら、ゆうら、123、456と揺れる拍子だよ」と腕を揺らしてお話ししました。
その晩に青島広志さんのピアノ曲集『もしかしてグリム』のCDを聴いていたら、「野ばらの子守歌~いばら姫~」が8分の6拍子で、やはり子守歌の拍子なのだな、と思いました。
しかし、「鹿狩りの歌~兄と妹~」もまた8分の6拍子で、「そう言えば、シューマンやメンデルスゾーンの『狩の歌』も8分の6拍子だから、馬で駆け回る拍子でもあるのだなあ」と気づきました。子守歌とは正反対のようなのに、面白いですね。
私の中では、8分の6拍子は、123拍が上向き、456拍が下向きの正弦曲線のイメージがあります。
ピアノの性格的小品で言うと、パストラール(ブルクミュラーの「牧歌」など)は、曲線的にゆっくり進む田園の時間の流れ、バルカローレ(メンデルスゾーンの「ベニスの舟歌」など)は、波の高まりと落ち込み、という感じです。
それから、jetの研究会の仲間のU先生のお話を思い出しました。
U先生は教会で讃美歌のオルガン伴奏を弾いていらっしゃるそうなのですが、なんと讃美歌もほとんど8分の6拍子なのだそうです。
「きよしこの夜」も、日本の歌集ではよく3拍子で見かけますが、讃美歌の楽譜では8分の6拍子なのだそう。4分の3拍子より8分の6拍子の方が、ゆったりした呼吸で歌えそうですね。
ゆりかごから教会まで、8分の6拍子の世界は意外と広いみたいです。
※ ご参考までに、拍子感やリズム感に関するブログです。