2018年

♪ 音楽にまつわる身辺雑記 ♪


家で練習をしない子

2018年(戌年)の我が家の年賀状のデザイン
2018年(戌年)の我が家の年賀状のデザイン

 いただいた年賀状の中に、「娘たちがピアノの練習をしない」と書き添えてあるものがありました。確かに、練習がつまらないときもありますよね。そこで、どんな時に練習が楽しくなるか考えてみました。

 

 第一に、練習の成果が表れたとき。たどたどしかった演奏が、生き生きと流れ始める瞬間って、すごくうれしいです。また、こんな曲にも手が届くようになったんだ!と、新しいステップに進んだことを実感できるのもうれしいです。

 第二に、好きな曲を弾くとき。冒頭から終わりまで全部でなくても、あのオスティナート・バスが好き!とか、リフレインなのにハーモニーだけ変わっていくところがたまらない!とか、部分的にでも好きなところがあれば他のところも頑張れます。

 第三に、一緒に楽しんでくれる人がいるとき。アンサンブルや連弾をしなくても、「最近練習しているあの曲、かっこいいね。」なんて言ってもらえるだけでも、やる気は倍増します。

 

 ということで、よく練習するようになるには、まず、練習の先(ゴールの方)には達成感やよろこびが待っていることを心にとめて励みにすること。それから、参考演奏を何度も聴いて、その曲に親しみを持ち、練習曲=好きな曲にすること。そして、練習はヘッドフォンで、なんて方もいらっしゃるかもしれませんが、なるべくご家族の方にも聞こえるような状態でオープンな練習をすること、がおすすめです。

 

 でも、もちろん、音楽以外の事柄に夢中になっている時も、エンジンのかかりにくいのんびりしたい時もありますので、そんな時は無理に頑張らせないで、細くとも長く音楽を楽しんでいけたら良いのではないかと思います。


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体調管理はしっかりと

風邪ひきえれんちゃん
風邪ひきえれんちゃん

 風邪をひいてしまいました。体が言うことを聞いてくれないので、仕事はどんどん後回し、しばらく鍵盤にも触れませんでした。

 

 回復してから、腕の衰えを覚悟して鍵盤に向かうと、不思議なことが起こりました。仕上げたい輪郭がはっきりと思い浮かばなくて、悩んでいた曲があったのですが、それがうまくまとまった感じに弾けたのです。

 どうやら、下手な演奏のイメージを頭にこびりつかせたまま練習を続けたので、行き詰まるばかりだったようです。

 テクニック的な部分は、サボれば確実に下手になります。でも、表現の部分では、しばらく放っておいて、リフレッシュしたところで取り組んだ方が良い場合もあるようです。

 

 プチ・ラッキーもありましたが、やはり、風邪をひいている間は、すごろくの「1回お休み」どころか「3回お休み」くらいの気分でした。

 しっかり体調管理をして、仕事を溜めないように、また、演奏の腕を磨けるようにしたいです。


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〇がもらえる演奏

クラーベの間隔を保ちつつずらしたリズム
クラーベの間隔を保ちつつずらしたリズム

 私が所属する千里jetでは、毎年3月にJESフォーラムが開かれます。フォーラムのメインは、千里jetの各勉強会の活動報告です。

 

 ヴィオリラ〔弓で弾いたりピックで鳴らしたりする大正琴のような見た目の弦楽器〕勉強会がとびきり美しいハーモニーの「海の見える街」(『魔女の宅急便』より)のアンサンブルを披露したり、ラテン・パーカッション勉強会が「クラーベのリズムの間隔はそのままに小節の頭を少しずつずらしていく」という奏者には難しいながらも、聴衆には心地良いリズム・アンサンブルを披露したり、今年も他のjetメンバーの活躍ぶりを知ることができました。

 

 フォーラムの終わりに、なんば&千里jetの会長であるT先生が「生徒さんがどんな演奏をしたときに〇をあげていますか?」と、お話しをされました。

 T先生曰はく、

 「間違えずに演奏できたら〇、なんてしていたら、生徒は間違えずに演奏しようとガチガチになってしまいますよ。少々楽譜どおりでなくても、うっとり気持ちよくなる演奏や、思わず踊り出したくなるような演奏など、心惹かれる演奏ができたら〇をあげるんですよ。」とのことでした。

 

 JESフォーラムで聴いたjetメンバーの演奏は、まさに〇がもらえる演奏。私自身も、生徒さんに見本で弾いて聴かせるときに、〇がもらえるような演奏をしなくちゃ!と思いました。


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調べと言葉

赤〇が強拍で、アイン、アイン、ラインが軽やかな弱拍
赤〇が強拍で、アイン、アイン、ラインが軽やかな弱拍

 大人の生徒さんから、シューベルトの「野ばら」を弾きたい、とのリクエストが出たので、久々に高校時代の音楽の教科書を開きました。そこに載っていたのは、歌+ピアノ伴奏の楽譜だったので、ドイツ語(カタカナ発音の)で「野ばら」を歌いながらピアノ伴奏を弾いてみました。

 

 そこで気づいたのは、この曲が言葉の調べのままに作られているということです。

 出だしは、ポルカのような伴奏で、イチ、ニ、と強拍-弱拍がくり返されるリズムが、歌詞の韻律とぴったり合っています。

 また、均等に2分される「8分音符+8分音符」のリズムが続く中で、2カ所だけ「付点8分音符+16分音符」のの伸びやかなリズムが出てきます。そこは、「バラを近くで見ようと速く走る」の「速く」と、「多くの喜びをもってそれを見た」の「喜び」が歌われるところです。速くバラのところへ行きたい、とか、近くでバラを見てうれしい、とか、心が大きく動くところをたっぷり歌うように作曲されています。

 

 私はドイツ語を勉強したことがないので、カタカナの発音で歌っただけですが、それでも、言葉の調べにのって、自然と音楽が生き生きしてくるのを感じました。

 作曲者の母国語でメロディを歌うことは、演奏の大きなヒントになります。生徒さんにも、ピアノ・ソロの演奏の前にドイツ語で歌うことうをお勧めしようと思います。

 


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セキレイの「ボン」改め「トン」

ブルグミュラーの「せきれい」の「ティララン、ティララン、ランッ、ボン」
ブルグミュラーの「せきれい」の「ティララン、ティララン、ランッ、ボン」

 近所の小さな川で、セキレイを見かけました。ちょこまかと早歩きしては止まり、早歩きしては止まり、しきりと尾を上下に振る姿は、とてもかわいらしかったです。

 

 一緒にいた夫が、「ブルグミュラーのティララン、ティララン、ランッ、ボンのボンは何をしているところだろうね」と首を傾げていました。

 ブルクミュラーの「せきれい」はセキレイの動きを見事に描写した曲です。分散和音のティラランはちょこまか早歩き、スタッカートの同音連打は上下に振る尾が想起されます。でも、確かに、大きなフレーズの終わりに低い音で「ボン」と入るところは、「はて?」です。

 しばらくセキレイを眺めていると、時々、くちばしを川の水に突き入れ、何か捕食していました。

 「ボンって、これかな?」「低い音だけど、トンッて軽く弾く感じだね。」などと話しつつ帰りました。

 

 別の日にセキレイが飛んでいるのも見かけました。ちょっと羽ばたいて上昇しては滑空するという飛び方で、波状飛行(バウンディング・フライト)というそうです。

 ブルクミュラーの「せきれい」の短調になるところは、この飛び方にぴったりだな、と思いました。

 

 具体的なタイトルがついている曲を弾くときは、実物を観察すると、弾き方のヒントが見つかるかもしれませんね。

 

 

※ ご参考までに、ピアノ曲に関するブログです。

  → 「絵画的に見る楽譜」(ブルグミュラー「タランテラ」)

  → 「表現としてのテンポ」(ブルグミュラー「やさしい花」)

  → 「シャープとフラットの話」(カバレフスキー「ワルツのように」)

  → 「大切なパートは?」(パーセル「シャコンヌ」)

  → 「歌うように弾く」(マルティーニ「愛のよろこび」)

  → 「サンタクロースのお爺さん?」(シューマン)

  → 「ガボットにチャレンジ」(ヘンデル)

  → 「『スズメに逃げられない』弾き方」(ベートーヴェン「エリーゼのために」)

  → 「それぞれの表現」(グリーグ「夜警の歌」)

  → 「強拍 vs アクセント」(チャイコフスキー『子どものアルバム』より「ワルツ」)


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意識のチャンネル

地震で少し前進したピアノ
地震で少し前進したピアノ

和音の低音の流れ
和音の低音の流れ

 今月は、大阪府北部を震源とする地震があり、勉強会はお休みです。勉強会メンバーのみなさんはご無事でしたが、地震の後片付けが大変なので。

 

 我が家は、震度5強の地域。震度のレベルは、さらに6弱、6強、7まであるそうですが、5強でもかなり怖かったです。でも、怖い思いの副産物で、地震の危険予測ができるようになりました。ここに置いたら滑り落ちる、とか、この形で立てたら倒れる、とかです。頭が地震モードになっていると、意識のチャンネルが自然と防災方面に合ってしまうようです。

 

 「意識のチャンネルが合う」ということを音楽の話に移しますと、例えば、最近のお気に入りは断然チェロという時に、ドミソ、ドファラ、シファソ、ドミソと和音〔3つの音を同時に鳴らす〕で伴奏を弾いたとします。すると、低音のドドシドがチェロの音色になって際立って聴こえます。そして、ドミソのまとまり、ドファラのまとまり、というように、1つ1つの和音がポンポンと順番に鳴っているのではなく、低音の流れに乗ってハーモニーが移ろっていくように感じられ、レガート〔高さの違う2つ以上の音をなめらかに結ぶ奏法〕で弾けます。

 また、意識のチャンネルをバス・ドラムに合わせれば、ゆったりとしたリズムに乗ることができますし、細かく刻むハイハット・シンバルに合わせれば、正確なリズムで弾けます。

 

 もちろん、重要でないものにまでいちいち意識を向けていては、脳が疲れてしまいますが、自分が演奏する曲の参考演奏を聴く時や、実際に演奏しているときは、いろいろなものに意識のチャンネルを合わせて、たくさんのことを感じながら聴けると良いですね。


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クマゼミの大合唱

クマゼミの鳴き声。これを輪唱的に、少しずつタイミングをずらして歌い始める。
クマゼミの鳴き声。これを輪唱的に、少しずつタイミングをずらして歌い始める。

 ただいま、クマゼミの大合唱に覆われています。エレクトーンで、トライアングルのロール〔素早い連打〕を鳴らしているのですが、まったく聞こえません。午後にはパタリと鳴き止んでしまうので、エレクトーンは後まわしにして、クマゼミの声に耳を傾けることにしました。

 

 ミンミンゼミは、ひらがなで鳴いているかのごとく、「みいーん、みんみんみんみんみんみいー」ですが、クマゼミの“聞きなし”はちょっと難しいです。「シャロシャロシャロ」と「ディグディグディグ」を同時に発音する感じでしょうか。シェイカーを振っている音に似ている気がします。テンポは、Vivace〔ヴィヴァーチェ:活発に速く〕。長いひと節を歌い終える前に、f 〔フォルテ:強く〕の16分音符からmp 〔メゾ・ピアノ:やや弱く〕の32分音符になってperdendosi 〔ペルデンドシ:次第にゆっくり、消えていくように〕。そして、D.C.〔ダ・カーポ:曲の頭に戻って繰り返す〕

 

 日常生活で耳にする音を文字で伝えるようとするとき、音楽用語はとても便利ですね。新しい音楽用語に出会ったら、その言葉に当てはまる身の周りの音を探してみるのもおもしろそうです。

 

 

※ ご参考までに、音楽用語、音楽記号に関するブログです。

  → 「『写譜』でしっかり読譜」 

  → 「フェルマータごっこ」


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ガボットにチャレンジ

生徒さんと話し合ったガボットの拍の感じ
生徒さんと話し合ったガボットの拍の感じ

 先日、生徒のTさんがバロック時代の曲、ヘンデルの「ガボット」の練習の成果を聴かせてくれました。Tさんにとっては、2曲目のバロック時代の曲です。

 

 まず、ベースラインを取る左手の4分音符がレガート〔なめらかにつなげて弾く〕になっていたので、弦楽器の弓をダウンだけ〔ふつうはダウン&アップ〕で弾くように音と音の間にすき間を入れるとバロックらしくなるよ、とアドバイスしました。
 また、舞曲の躍動的な感じがほしかったので、You-tubeでガボットの動きを観察して、1拍目と3拍目は前進あるいは跳躍するような拍、4拍目は止まったり、ターンしたりして次の小節に向かう拍だね、などと話し合いました。 

 

 バロック時代の曲は、ふだん耳にする音楽とは違っていて、少しとっつきにくいですが、舞曲の場合は、どんな動きの踊りかを知ることで、雰囲気をつかみやすくなると思います。

 

 レッスンの終わりに、Tさんが少し元気なく「自分ではよく弾けたと思ったのですが」と苦笑いしてました。

 その言葉で、がんばって練習してきた部分を見逃してしまったのだと気づきました。バロック時代の曲らしい演奏のために、あれも伝えよう、これも伝えようという気持ちばかり先走っていまいましたが、「ここが良かった」ということもきちんと伝えるべきだったな、と反省しました。

 

 

※ ご参考までに、ピアノ曲に関するブログです。

  → 「絵画的に見る楽譜」(ブルグミュラー「タランテラ」)

  → 「シャープとフラットの話」(カバレフスキー「ワルツのように」)

  → 「大切なパートは?」(パーセル「シャコンヌ」)

  → 「歌うように弾く」(マルティーニ「愛のよろこび」)

  → 「サンタクロースのお爺さん?」(シューマン)

  → 「セキレイの『ボン』改め『トン』」(ブルグミュラー)

  → 「表現としてのテンポ」(ブルグミュラー「やさしい花」)

  → 「『スズメに逃げられない』弾き方」(ベートーヴェン「エリーゼのために」) 

  → 「それぞれの表現」(グリーグ「夜警の歌」)

  → 「強拍 vs アクセント」(チャイコフスキー『子どものアルバム』より「ワルツ」)


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不協和音の気持ち

メンデルスゾーン「結婚行進曲」の減三和音
メンデルスゾーン「結婚行進曲」の減三和音

 勉強会でカデンツ〔常套句的なコード進行〕の話題が出たときに思い出した私の昔話です。

 

 音楽教室ではいろいろな和音を学習しますが、中には、耳障りな不協和音もあります。その極め付きが、短調のⅡの和音として登場する減三和音です。

 私も、小学生で減三和音を習ったとき、「なんでこんなに汚い音を弾かされるのだろう」と不満に思いました。

 

 中学生になったある日、新聞で小山田二郎さんの「ピエタ」〔わが子キリストの亡骸を抱くマリア様の像〕という絵を見た瞬間、頭の中に減三和音がガーンと鳴り響きました。そして、納得しました。減三和音は、子を失った親の悲しさくらいの激しさがあるから、平穏に生きてきた私には理解できない音だったのだ、と。

 

 また後日、メンデルスゾーンの「結婚行進曲」のファンファーレからテーマに入ったところの和音も減三和音だと知りました。

 減三和音は、わが身に納まりきらないほどの悲しさや喜びに通じる和音なのだなあ、と興味深く思いました。

 

 指が動けば、一応、演奏ができます。でも、減三和音を「汚い音」と思って弾くのと、たとえば小山田さんの「ピエタ」を思い浮かべて弾くのとでは、どこか違う演奏になると思います。

 実生活では経験しないような感情も、本や映画や絵画などで追体験できます。そうして、「あの作品のあの時の気持ちだ」という風にしっかりしたイメージを持って演奏できたら、弾く人も聴く人も、より深く音楽を楽しめるのではないでしょうか。


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サンタクロースのお爺さん?

Knecht Ruprechtの絵
Knecht Ruprechtの絵
シューマン「サンタクロースのお爺さん」の冒頭
シューマン「サンタクロースのお爺さん」の冒頭

 「ユネスコの評価機関がナマハゲなどの来訪神を無形文化遺産に登録するよう勧告した」というニュースに触れて思い浮かんだのが、シューマンの「ユーゲント・アルバム」の中にある「サンタクロースのお爺さん」というピアノ曲です。

 そんな題名ですが、イ短調だし、とても低い音から始まるし、アクセントやフォルテ〔強く〕もみっしり書き込まれているし、サンタクロースよりはむしろモンスターが出てきそうな曲です。

 

 日本語のタイトルに併記されているドイツ語「Knecht Ruprecht」で検索してみると、「従者ループレヒト」と出てきます。

 ループレヒトは、聖ニコラウスの従者で、聖ニコラウスの祝日に、庭ぼうきの先端のような枝のムチを持ってやって来ます。良い子は聖ニコラウスからプレゼントをもらい、悪い子はループレヒトのムチでお仕置きされるそう。

 

 日本風な怖い音と言えば、雷鳴のような太鼓のドロドロと、悲しげなすすり泣きのような笛ですよね。

 一方、ドイツ風の怖い音は(この曲とシューベルトの「魔王」の2曲だけで思ったのですが)、疾走感のある低音と、猫なで声のようなやわらかいアルトの音みたいです。

 途中で、ヘ長調のピアノ〔弱く〕になりますが、やさしい声で招きながらもムチを隠し持っていると思えば、逃げ出したくなりませんか。

 

 シューマンの「サンタクロースのお爺さん」は、走って追いかけて来て、時には甘い声で呼び止めたりもするドイツ風のナマハゲをイメージしながら演奏するのがお勧めです。

 

 

※ ご参考までに、ピアノ曲に関するブログです。

  → 「絵画的に見る楽譜」(ブルグミュラー「タランテラ」)

  → 「シャープとフラットの話」(カバレフスキー「ワルツのように」)

  → 「大切なパートは?」(パーセル「シャコンヌ」)

  → 「歌うように弾く」(マルティーニ「愛のよろこび」)

  → 「ガボットにチャレンジ」(ヘンデル)

  → 「セキレイの『ボン』改め『トン』」(ブルグミュラー)

  → 「表現としてのテンポ」(ブルグミュラー「やさしい花」)

  → 「『スズメに逃げられない』弾き方」(ベートーヴェン「エリーゼのために」) 

  → 「それぞれの表現」(グリーグ「夜警の歌」)

  → 「強拍 vs アクセント」(チャイコフスキー『子どものアルバム』より「ワルツ」)


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じっくり向き合って

イベントの案内カード
イベントの案内カード

 エレクトーンのデモンストレーター中川深捺さんの演奏を聴きながら、手づくりパンのブランチを楽しむイベントに行ってきました。

 エレクトーンという楽器を紹介するという趣旨もあり、いろいろなジャンルの曲を、いろいろな楽器の音色で聴かせてもらえました。

 

 面白かったのが、ショパンの「仔犬のワルツ」をパリの街角風に、とか、サン=サーンスの「白鳥」を車のコマーシャル・ソング風に、とかのアレンジ〔編曲〕です。

 エレクトーンは、ボタンを押すだけで、本当にたくさんの音色が出るのですが、それらしい楽器編成で、それらしいアレンジにして、それらしく演奏するのは、結構大変です。しかし、中川さんの演奏は、「それらしさ」が自然に出ていて、とてもかっこ良かったです。

 中川さん自身も、楽しんでアレンジなさっているようで、「赤鼻のトナカイ」が世界中を回る、という設定でアレンジした曲は、お客さんの反応をワクワクした感じで見ながら、本当に楽しそうに弾いていました。 

 演奏する、と言えば、耳で聴いたまま弾く耳コピーや、楽譜どおり弾くのが一般的ですが、想像力を膨らませてアレンジして、聴いてくれる人の反応を楽しみながら弾く、というのもあるんですね。

 

 演奏もパンも、じっくり向き合って作り上げられたものに触れられ、英気を養えました。

 

 

※ ご参考までに、エレクトーンのアレンジに関するブログです。

  → 「頭の中に理想をつくる」

  → 「ちびトトロも『こんにちは。』」


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ピアニストの手

日本人サイズの私の手
日本人サイズの私の手

 名曲アルバム+(プラス)という番組で、リストの「ラ・カンパネラ」を視聴しました。一面の黒の中に、見えないピアノを奏でる手と、その下の鏡像の手だけが浮かび上がっている、というシックな映像です。

 

 リストの手は、ドから1オクターブ上のソまで届くそうです。そんな大きな手用に書かれた楽譜ですから、日本人サイズの手で弾くと必死なはずなのに、優美です。映っているのは、たぶん奏者の反田恭平さんの手だと思うのですが、美しい音楽に合わせて動く様はまるでバレリーナのよう。

 

 バレエには、いくつもの「ポーズ」があり、それをつないでいくことで踊りになる、と聞いたことがあります。「ラ・カンパネラ」の無数の音の一つ一つを「ポーズ」のような完璧さで鳴らし、それらをスムーズにつなげられるからこそ、ピアニストの手の動きはこんなにも美しいのだろう、と思いました。

 

 一緒に見ていた夫が「ピアニストの指も10本なんだね」と言っていました。自分の手を見てみると、確かに指が10本。指の数は同じなのに、ピアニストとは、運動性能が違いすぎます。これからは、もっと練習を頑張らねば!と反省しました。


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魔法使いのえれんちゃん
えれんちゃん