エレクトーンには、メモリーボタンという数字が書かれたボタンがあります。そのボタンを押すと、予め記憶させたレジストレーション〔音色の設定〕を瞬時に呼び出すことができます。
ある日、「大きな古時計」を弾きながら、K君がメモリーボタンを押して、レジストレーションが、クワイア〔聖歌隊〕&パイプオルガンの讃美歌モードに変わりました。
時は、町中にクリスマス・ソングが流れる12月。この音色なら、「きよしこの夜」だよね!と思って、K君の横から腕を伸ばして弾き始めました。
途中までは、K君も学習済みのⅠの和音、Ⅳの和音、Ⅴ7の和音で伴奏も弾けます。ところが、「眠りたもう」のところは、この3種類の和音ではない響きが頭の中で鳴っています。
はて、何の和音だろうと思って、K君が弾いている横の、もう一台のエレクトーンに座って曲の初めから弾いてみたら、G-G#dim-Am-F#m7♭5というコード進行でした。
弾きながら、「このベースの動きは!」とハッとしました。「大きな古時計」で、トゥ&ヒールといって、つま先とかかとを使ってベースをレガートに弾く奏法を学習したところだったのですが、ちょうどそのフレーズの和音が、G-E7-Amでほぼ同じだったのです。※E7は、代理コードとしてG#dimに入れ替え可能。
「大きな古時計」のここの伴奏で「きよしこの夜」が弾けるよ!と言って、K君にメロディだけでなく、伴奏も合わせて弾いてもらいました。即、弾けてしまう優秀な生徒さんです。
K君が学習中の8級のレパートリー曲になると、複雑な和音も出てきます。他の有名な曲のこのフレーズも同じ和音で弾けるよ、と教えてあげたら、和音の学習がもっと面白くなりそうです。
そんなレッスンができるよう、コード進行の引き出しを増やしておかねば、と気を引き締めました。
お盆休みに、夫が蒸気機関車の動画を見ていました。
蒸気機関車の音と言えば、「シュッシュッ、ポッポッ」と思っていたのですが、「シュクシュクシャクシュク、シュクシュクシャクシュク」と聞こえてきます。かぎかっこの中が、同じ長さの時間。ずいぶん慌ただしい音です。
なんでも、三重連といって、機関車を3台連結して、急勾配の坂を重い貨車を運んで上っているところだそう。あらん限りの力を出そうとボイラーをフル稼働させている音なのですね。
そのうち、機関車の音がノリの良い16ビートに聞こえてきました。
そして、この音をバックに感じつつ練習したら、16分音符のリズムがかっこ良く弾けるのではないか、と思いました。
たとえば、チャイコフスキーの『子どものためのアルバム』の「おもちゃの兵隊」。夜中に兵隊さんだけでなく、列車や他のおもちゃたちも動いているにぎやかなイメージで。
休符もしっかり感じられるし、付点8分音符+16分音符のリズムも正確になり、兵隊さんらしいキビキビした演奏ができそうです。
そう言えば、わたしスマホのバイブは「ブンッブ、ブンッ」で、付点8分音符+16分音符+4分音符のリズムだし、外で鳴いているシジュウカラは「チュピー、チュピー、チュピー」で16分音符+付点8分音符が3回のリズムです。
探してみれば、意外とたくさんの16分音符のリズムを見つけられそうです。
身のまわりの16分音符のリズムを思い浮かべながら、演奏の練習をするのも楽しそう。お試しあれ。
自分の楽器を大切にしている人にも、思わぬ落とし穴があります。今回は、その2つの落とし穴をご紹介します。
① アルコール消毒で鍵盤にひびが入った!
jetのT先生のお話です。
新型コロナ流行以前に、鍵盤のアルコール消毒を始めたところ、日を置かずに、ピアノの鍵盤にひびが入ってしまったそう。修理に来た調律師さんは、すぐに原因を突き止め、「アルコールのご使用はお止めください」と言われたそう。
新型コロナ流行中の今は、どこでもシュッシュッとアルコール消毒しますよね。あちこちのストリートピアノも、消毒用アルコールが乾かないうちに鍵盤に触れてしまう人が多いようで、鍵盤ひび割れが生じているとか。
ヤマハでは、感染症対策として、鍵盤拭きには鍵盤クリーナー の使用が推奨されています。でも、まずは演奏の前後に石鹸で手を洗う、が基本ですね。
② 落雷でエレクトーンが故障した!
jetのY先生のお話です。
数年前のことですが、Y先生のお宅の前の電柱に雷が落ちて、家中の電気製品がダメになってしまったそう。電気製品であるエレクトーンも一緒に。
ショックですね。
わたしも、子供のころ、エレクトーンを弾いている時に、近くに雷が落ちたことがありました。その時は、電源が切れただけで済んだのですが、雷パワーを侮ってはいけませんね。
雷が近づいてきたら、エレクトーンや電子ピアノのコンセントは抜きましょう。音が出なくても、音色を思い浮かべて指を動かす練習はできますからね。
3回目のワクチン接種を受けてひと月ばかり、世間の新型コロナの感染状況も落ち着いてきているようなので、それっ!とばかりに神奈川の実家へ行ってまいりました。2019年の9月以来なので、2年8か月ぶりの里帰りです。
とは言え、まだまだ会食も憚れる状況ですので、誰と会うでもなく、お墓参り以外は実家でステイホームでしたが。
実家のエレクトーンや電子ピアノがある部屋に、古い高校の音楽の教科書が出ていました。高齢者のための生涯学習学級の「唄おう会」で伴奏譜に母が使っているそうです。昭和33年発行とあります。どんな曲が載っているのか見てみました。
1曲目は、「夢見る春」。楽譜を目で追っていると、あら?ショパンの「幻想即興曲」の変ニ長調になるところのメロディに日本語の歌詞がついているではありませんか。
ページを繰っていくと、クラシックの器楽曲に日本語の歌詞がつけられて、歌の楽譜になっているものがチラホラ。
サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」(ゆったりした短調のところ)、リストの「愛の夢」、チャイコフスキーの『白鳥の湖』の「情景」、ショパンの「別れの曲」、スメタナの「モルダウ」などなど。
ゆったりしたカンタービレな〔歌うように弾く〕曲調の部分が多いですが、ワルトトイフェルの「女学生」は生き生きとしたワルツの二部合唱曲になっていますし、ブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」の二部合唱曲なんて、アップテンポな掛け合いでエキサイティングしそう!
楽器ごとの音色の味わいは様々で、器楽曲には器楽曲の良さがあります。
とは言え、学校の授業なら、ただ座ってレコード鑑賞をするよりも、クラス全員で歌う方が、楽しいだろうし、多くのことを感じとれるのではないかと思いました。
うちの教室でも、ワンランク上のちょっと難しい曲に挑戦するときは、歌にして楽曲に十分親しんでから鍵盤に向かう、というアプローチも取り入れてみようと思いました。
※ ご参考までに、言葉と音楽、または歌と演奏に関するブログです。
入門のころ、テキストとは別に、音名(ドレミ)で暗唱できるようにする曲があります。
その中の1曲、「コスモス」は、初めての3拍子の曲です。
「ラララ、ソー」、「ファファファ、ミミミ、レレレ、ドー」と、同じ音を3つ繰り返すフレーズがたくさん出てきます。
先日のレッスンのこと。1月に入会したものの、新型コロナの感染拡大を受けて、まだ教室での対面レッスンは7回目、という生徒さんと一緒に「コスモス」を歌いました。
すると、同じ音を3つ繰り返すところを「ララララ、ソー」など、4つにして歌ってしまいます。
以前、同音連打の数が合わない子は拍子を感じてもらえれば、数えなくても弾ける!と思ったのですが、この生徒さんについては、拍子感もこれから育んでいくところ。
さて、どうしましょう。
使用中のテキストには、トラックで楽器の行商をしているゴリラのおじさんが出て来ます。
おじさんのトラックの中は楽器がいっぱい。トランペットが3つ、ギターが3つ、ハンドベルが3つ。
3つずつある楽器を指で数えながら歌えば良いかも、と思いついて、やってみました。
「ラララ、ソー」できた!
「ファファファ、ミミミ、レレレレ、ドー」お、惜しい。
まあ、今回のレッスンで歌い始めたばかりの曲ですので、すぐにできなくても仕方ありませんよね。
歌っていくうちに、3拍子の拍子感が身についてくるといいな、と思いました。
※ ご参考までに、拍子感やリズム感に関するブログです。
2度目のワクチン接種が済んだから、やっと、研究会やセミナーに出かけられる、と思ったのも束の間、感染力の非情に強いオミクロン株なるものが登場し、日本国内も毎日大勢の感染者が報告されるようになりました。
マスクをしていても50センチの距離での会話で感染するというのですから、対面レッスンはお休み。生徒さんたちとは、演奏動画のやり取りを再開することに。
心配だったのが、年末に体験レッスンに来て、まだ2回しかレッスンをしていないIちゃん(年中さん)のこと。
歌を歌ったり、音楽に合わせて体を動かしたりして、音楽に対する感性をはぐくむ時期なのに、動画のやり取りで何が伝えられるのだろう、と悩みました。
恐る恐る、リズム打ちをしたり、体を動かしながら歌っている動画を送ってみました。
すると、Iちゃんがそれを見ながら歌っている動画が返信されました。「毎日少しずつですが、時間を作り練習しています。嫌がることなく楽しくやっています」と、お母さまのメッセージが添えられて。
対面レッスンでは、マスクで口元が見えないし、見本を見せられるのも週に一度だけ。動画では、歌っている口元が見えて、毎日見本を見ながら歌える。
双方向的ではない、平面の画面の中、という制約はありますが、動画ならではの利点もあって、良かったなあと思いました。
新規感染者数は減少に転じているものの、しばらくは、動画のやり取りが続きそうです。
生徒さんが楽しんで音楽を続けられるよう、そして、コミュニケーション不足にならないよう気をつけながら、この局面を乗り切りたいです。
昨年の10月初旬のことです。
生徒のTさんが、「仕事が忙しくて、ピアノを弾く気力も出ないので、しばらくお休みしたい」とおっしゃいました。
残念ですが、仕方のないことと思っておりました。
そうしましたら、その月の下旬。「今の自分の気持ちにぴったりの曲があって、弾きたくなりました」と、Tさんがチャイコフスキーの「朝の祈り」(『子供のアルバム』所収)を練習してきました。なんでも、Youtubeでプレトニョフさん(指揮者としても活躍するピアニスト)の演奏を聴いたことがきっかけだったそう。
その後、練習を続けていく中で、「まだまだ仕事が忙しいので、テンポの速い曲は無理ですが、次も、ゆっくりな曲なら弾けそうです」と、前向きな気持ちを伝えてくれるようになりました。
11月に、第18回ショパン国際ピアノコンクールの演奏をYoutubeで聴ける、ということをTさんに伝えました。
それ以来、土日に出勤するときは、事務室に一人なので、ショパンコンクールを聴きながらお仕事をなさったそうです。
すると、ショパンコンクールの素晴らしい演奏の数々を聴いて、ピアノが弾きたい!という気持ちがどんどん高まっていったそう。
1月は、仕事もひと段落しているそうで、Tさんは、「朝の祈り」の演奏に磨きをかけつつ、同じく『子供のアルバム』所収の「マズルカ」と「カマリンスカヤ」(テンポの速い曲!)、それにショスタコーヴィチの「ガボット」(『人形の踊り』所収)を練習中。がんばっていますね!
ピアノやエレクトーンなど、楽器を続けるには、良い曲の良い演奏を聴き、「弾きたい!」という衝動を持つことが必要なのだなあ、と思いました。
アンテナを広く張り巡らせて、生徒さんたちに、良い演奏の動画やCDを教えられる指導者になりたい、と思います。