同音連打のアーティキュレーション

ハイドン「弦楽四重奏曲『ご機嫌いかが?』第4楽章」のピアノ版より
ハイドン「弦楽四重奏曲『ご機嫌いかが?』第4楽章」のピアノ版より

 Hちゃんは、同音連打〔同じ高さの音が続くところ〕を味があるアーティキュレーション〔音の切り方〕で弾きます。弦楽器のスピッカート〔弓を弦の上で弾ませてポンッポンッと弾く奏法〕のようなノン・レガート。

 明るくて晴れやかな曲にはぴったりの弾き方なので、そんな曲に同音連打があったら、わたしも、Hちゃんのまねをして弾いています。

 

 ただ、やさしい子守歌のような曲では、ちょっとよろしくありません。

 ですから、「ララルー」〔ディズニーのアニメに用いられた子守歌〕の練習中には、鍵盤から指を離さないように、手の甲の傾きも使って、などと注意をしました。そうして、同音連打のところも含めて、美しいレガートで弾けるようになったのですが・・・

 

 初見演奏の練習問題を弾くHちゃん。なんというか無表情。音価と音高〔音の長さと高さ〕は合っているけど、昔の電話の保留音のような演奏です。

 残念に思って、「初見の問題でもきれいに弾けたらいいのに」とこぼしたら、なんと、Hちゃん、すぐにきれいに弾けました!

 こんな風に弾いたらいいよ、というアドバイスがなくても、自分でどうしたら良いか考えて演奏することができるようになったのだなあ、と成長を感じました。

 

 鍵盤楽器の演奏というのは、あちらに気を配り、こちらに気を配り、同時進行でいろいろなことに注意を払わなければなりません。音高と音価だけでなく、拍子感、ハーモニー感、フレーズ感、リズム感、強弱、アーティキュレーション、音のバランスに表情。

 できなかったことを一つ一つ当たり前にできることにしていく。その積み重ねが、多方面に注意を払うことを可能にし、良い演奏につながるのだと思います。

 Hちゃんは、レガート奏を美しく弾くことが当たり前になりつつあるようです。これからの成長も後押しできるように、良い演奏にするためのポイントを見つけて伝えていこうと思います。


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