両手奏は難しい

左手をリズムだけにした練習の例(チャイコフスキー「カマリンスカヤ」より)
左手をリズムだけにした練習の例(チャイコフスキー「カマリンスカヤ」より)

 鍵盤演奏の難しいところは、やはり左右の手で別々の動きをしなければいけないこと。

 右手は上手に弾けた、左手もできた、さあ両手、となった時につまずくのはお決まりのパターン。演奏歴が半世紀近い私も、いまだに両手奏になるとムギギと顔をしかめてしまうことはよくあります。

 

 今回は、そんな時、私がしている対策をご紹介します。

 

 ① 左右の動きのタイミングを精密にとらえる。

 「1と2と・・・」とカウントを取りながら、ゆっくり両手奏します。楽譜作成ソフトみたいな縦の目盛の線を思い浮かべて、どこに音符や休符が当てはまるのか、装飾音符も精密に把握します。

 

 ② 片手奏を極める。

 指づかいはもちろん、腕の角度とかちょっとした動きまで、スムーズに弾けるよう考え抜きます。そうして、片手奏を極めると、両手奏になっても余裕ができるようで、うまくいくことが多いです。

 

 ③ 片手をリズム、または和音といった要素に分ける。

 右手は普通に弾き、左手はリズムだけを打つ、または、左手は全音符や2分音符などの和音にして弾く。というように、要素に分けて両手で動けるようになると、両手奏が楽になります。

 

 両手奏は難しいので、できるようになるまで練習を重ねなければいけません。でも、いつまでも弾けないと嫌になります。

 そんな時は、コップに少しずつ水をためている状態をイメージします。練習の成果が感じられないのは、まだ水があふれていないから。練習を続けていれば、少しずつ脳も体も学習しているはず。

 コップからあふれるようになったところで、初めて弾けるようになる。そう思って私は取り組みます。

 

 生徒さん達には、なるべく楽しくレッスンを受けてもらいたい。とは言え、小さなお子さんでも地道な練習は必要です。

 つまずいている生徒さんには、上記のようなことをお話して、励ますことができたらいいな、と思います。


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