音楽史を伝える

『音楽史』の本と新聞の切り抜き
『音楽史』の本と新聞の切り抜き

 先日、初めてポリフォニーの曲に挑戦する生徒さんに、バロック時代について説明しようと思ったら、「17世紀ごろのヨーロッパの王様とかがいた時代」としか言えませんでした。

 これでは何も伝わらないよなあと反省し、勉強し直すことに。

 

 何十年か前に読んだ『音楽史 作曲家とその作品』(千蔵八郎・著)という本を引っ張り出すと、新聞の切り抜きがハラリ。それは、池辺晋一郎さんのコラムで、楽器の奏法の変遷について書かれたものでした。

 弓で擦るバイオリンは、ルネサンス期にはピチカート〔弦を指ではじく奏法〕、19世紀にはコル・レーニョ・バットゥート〔弓の木の側で弦をたたく奏法〕が試みられ、20世紀には通常弾かない部分を弾いたり、たたいたり、ひっかいたりされるようになるそう。

 他にも木管楽器、金管楽器、ティンパニやピアノについても奏法の変遷が書かれていました。

 

 生徒さん用に、「西洋音楽史の4期」と題して、バロック、古典、ロマン、近・現代の4期に分け、その時代の社会情勢、どんな曲が作られたか、新しい楽器と新しい奏法、そして音楽家について、A4の紙一枚にまとめました。

 

 学校で世界史を勉強したときは、出来事の名前とその内容の丸暗記しかしなかったので、単なる情報でつまらないものになっていました。

 しかし、今回、池辺さんのコラムを読んでから歴史を見たら、作曲家や楽器職人、新しい奏法を模索する演奏者、楽譜を購入する市民、オペラ劇場の建築家などなど、生身の人間がそこで動いていたことを感じられました。

 社会が変わり、聴衆が変わって彼らが求めるものも変わり、さまざまな技術が向上し、新しい音色や楽曲が生まれる。

 音楽の歴史も面白いなあ、と思いました。

 

 後日、小学生の生徒さんに「西洋音楽史の4期」のプリントを渡し、解説しました。

 ポリフォニーとモノフォニー、弦楽四重奏曲、産業革命、プリペアド・ピアノ・・・。

 小学生には説明が必要な言葉が多すぎたかも。人に伝えるって難しいですね。


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