昨年の10月初旬のことです。
生徒のTさんが、「仕事が忙しくて、ピアノを弾く気力も出ないので、しばらくお休みしたい」とおっしゃいました。
残念ですが、仕方のないことと思っておりました。
そうしましたら、その月の下旬。「今の自分の気持ちにぴったりの曲があって、弾きたくなりました」と、Tさんがチャイコフスキーの「朝の祈り」(『子供のアルバム』所収)を練習してきました。なんでも、Youtubeでプレトニョフさん(指揮者としても活躍するピアニスト)の演奏を聴いたことがきっかけだったそう。
その後、練習を続けていく中で、「まだまだ仕事が忙しいので、テンポの速い曲は無理ですが、次も、ゆっくりな曲なら弾けそうです」と、前向きな気持ちを伝えてくれるようになりました。
11月に、第18回ショパン国際ピアノコンクールの演奏をYoutubeで聴ける、ということをTさんに伝えました。
それ以来、土日に出勤するときは、事務室に一人なので、ショパンコンクールを聴きながらお仕事をなさったそうです。
すると、ショパンコンクールの素晴らしい演奏の数々を聴いて、ピアノが弾きたい!という気持ちがどんどん高まっていったそう。
1月は、仕事もひと段落しているそうで、Tさんは、「朝の祈り」の演奏に磨きをかけつつ、同じく『子供のアルバム』所収の「マズルカ」と「カマリンスカヤ」(テンポの速い曲!)、それにショスタコーヴィチの「ガボット」(『人形の踊り』所収)を練習中。がんばっていますね!
ピアノやエレクトーンなど、楽器を続けるには、良い曲の良い演奏を聴き、「弾きたい!」という衝動を持つことが必要なのだなあ、と思いました。
アンテナを広く張り巡らせて、生徒さんたちに、良い演奏の動画やCDを教えられる指導者になりたい、と思います。