シャープとフラットの話

カバレフスキー「ワルツのように」の和声の構成音(冒頭の4小節)
カバレフスキー「ワルツのように」の和声の構成音(冒頭の4小節)

ラのシャープとシのフラットは同じ鍵盤です
ラのシャープとシのフラットは同じ鍵盤です

 以前、生徒さんに弾きたい曲を尋ねたところ、Sちゃんは大河ドラマ『西郷どん』の「メインテーマ」とエンヤさんの「Only Time」、Tさんはモーツァルトの「トルコ行進曲」とメンデルスゾーンの「ベネツィアの舟歌第2番」でした。

 面白いことに、Sちゃんが選んだのは両方とも調号がフラット3つの変ホ長調の曲、Tさんが選んだのは両方ともシャープ3つのイ長調と嬰へ短調の曲でした。

 調性によって曲が性格づけられる、という説があります。 SちゃんとTさんは、曲の調性による雰囲気の違いを感じ取れているのかもしれませんね。

 

 カバレフスキーの「ワルツのように」というシャープ1つのト長調の曲がありますが、途中で「ラのシャープ」という意外な音が出てきます。「シのフラット」ならば近親調のト短調の響きなのですが、「シのフラット」ではなく、「ラのシャープ」。

 なぜこのように記譜されているのだろうと思いつつ、それぞれ音名(ドレミファソ)で歌ってみると、「レシ(フラット)」はラメントーソ〔悲しげに〕の感じ、「レラ(シャープ)」はスケルツァンド〔戯れるように〕の感じがします。

 やはり、ここは「ラのシャープ」にして、整ったワルツではなく、ちょっと崩した「ワルツのように」弾くのかな、と思います。

 

 わたしは、調号がシャープ系の曲はキラッとした感じ、フラット系の曲はまろやかな感じかな、と思っております。

 演奏する曲が決まったら、シャープとフラットにも目を向けてみると、新しい見方ができるかもしれませんね。

 

 

※ ご参考までに、ピアノ曲に関するブログです。

  → 「絵画的に見る楽譜」(ブルグミュラー「タランテラ」)

  → 「大切なパートは?」(パーセル「シャコンヌ」)

  → 「歌うように弾く」(マルティーニ「愛のよろこび」)

  → 「サンタクロースのお爺さん?」(シューマン)

  → 「ガボットにチャレンジ」(ヘンデル)

  → 「セキレイの『ボン』改め『トン』」(ブルグミュラー)

  → 「表現としてのテンポ」(ブルグミュラー「やさしい花」)

  → 「『スズメに逃げられない』弾き方」(ベートーヴェン「エリーゼのために」)

  → 「それぞれの表現」(グリーグ「夜警の歌」)

  → 「強拍 vs アクセント」(チャイコフスキー『子どものアルバム』より「ワルツ」)

 

 

※ ご参考までに、調性に関するブログです。

  → 「7つのイメージ」


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