歌うように弾く

赤マルが、テンポ・ルバートになる跳躍の音程〔マルティーニ「愛のよろこび」より〕
赤マルが、テンポ・ルバートになる跳躍の音程〔マルティーニ「愛のよろこび」より〕

 勉強会の前に、S先生が田中カレンさんの『星の動物たち』の楽譜を見ながら発表会で弾かせる曲を思案していました。次第に勉強会メンバーが集まって来ますが、みなさん一様に「田中カレンさんの曲って、きれいよね」とうなずき合うので、You-tubeでの楽曲鑑賞会が始まりました。

 

 曲もファンタジックで美しく素敵でしたが、音大で教えていらっしゃる赤松林太郎さんの演奏に心惹かれました。音楽のレッスンでは、よく「歌うように弾きましょう」と言われます。赤松さんの演奏は、まさに歌うようでした。

 そこで、ピアノの講座で、海川千史先生が「歌曲をピアノで弾くときには、メロディを歌ってごらんなさい。跳躍する音程の時は少しテンポ・ルバート〔自由なテンポで、の意。この場合、少しもたつくように〕になるでしょう?」とおっしゃっていたのを思い出しました。

 

 ポピュラー・ソングでは、リズム・セクションも主役級の扱いで、一定のテンポに乗って歌われることもあるので、「歌うように」テンポ・ルバートするときの参考にはなりませんが、歌曲やcantabile〔歌うように〕が得意な楽器を唯一の主役にした楽曲は、テンポに自然な揺らぎがあります。そういう曲をどんどん聴いて、口ずさんでみて、自然な揺らぎを身に着けたら、歌うように弾くための近道になりそうです。

 

 

※ ご参考までに、ピアノ曲に関するブログです。

  → 「絵画的に見る楽譜」(ブルグミュラー「タランテラ」)

  → 「シャープとフラットの話」(カバレフスキー「ワルツのように」)

  → 「大切なパートは?」(パーセル「シャコンヌ」)

  → 「サンタクロースのお爺さん?」(シューマン)

  → 「ガボットにチャレンジ」(ヘンデル)

  → 「セキレイの『ボン』改め『トン』」(ブルグミュラー)

  → 「表現としてのテンポ」(ブルグミュラー「やさしい花」)

  → 「『スズメに逃げられない』弾き方」(ベートーヴェン「エリーゼのために」)

  → 「それぞれの表現」(グリーグ「夜警の歌」)

  → 「強拍 vs アクセント」(チャイコフスキー『子どものアルバム』より「ワルツ」)


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