セキレイの「ボン」改め「トン」

ブルグミュラーの「せきれい」の「ティララン、ティララン、ランッ、ボン」
ブルグミュラーの「せきれい」の「ティララン、ティララン、ランッ、ボン」

 近所の小さな川で、セキレイを見かけました。ちょこまかと早歩きしては止まり、早歩きしては止まり、しきりと尾を上下に振る姿は、とてもかわいらしかったです。

 

 一緒にいた夫が、「ブルグミュラーのティララン、ティララン、ランッ、ボンのボンは何をしているところだろうね」と首を傾げていました。

 ブルクミュラーの「せきれい」はセキレイの動きを見事に描写した曲です。分散和音のティラランはちょこまか早歩き、スタッカートの同音連打は上下に振る尾が想起されます。でも、確かに、大きなフレーズの終わりに低い音で「ボン」と入るところは、「はて?」です。

 しばらくセキレイを眺めていると、時々、くちばしを川の水に突き入れ、何か捕食していました。

 「ボンって、これかな?」「低い音だけど、トンッて軽く弾く感じだね。」などと話しつつ帰りました。

 

 別の日にセキレイが飛んでいるのも見かけました。ちょっと羽ばたいて上昇しては滑空するという飛び方で、波状飛行(バウンディング・フライト)というそうです。

 ブルクミュラーの「せきれい」の短調になるところは、この飛び方にぴったりだな、と思いました。

 

 具体的なタイトルがついている曲を弾くときは、実物を観察すると、弾き方のヒントが見つかるかもしれませんね。

 

 

※ ご参考までに、ピアノ曲に関するブログです。

  → 「絵画的に見る楽譜」(ブルグミュラー「タランテラ」)

  → 「表現としてのテンポ」(ブルグミュラー「やさしい花」)

  → 「シャープとフラットの話」(カバレフスキー「ワルツのように」)

  → 「大切なパートは?」(パーセル「シャコンヌ」)

  → 「歌うように弾く」(マルティーニ「愛のよろこび」)

  → 「サンタクロースのお爺さん?」(シューマン)

  → 「ガボットにチャレンジ」(ヘンデル)

  → 「『スズメに逃げられない』弾き方」(ベートーヴェン「エリーゼのために」)

  → 「それぞれの表現」(グリーグ「夜警の歌」)

  → 「強拍 vs アクセント」(チャイコフスキー『子どものアルバム』より「ワルツ」)


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